【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
うつむき加減で歩いていて、何かにぶつかってしまった。「すみません」と顔を上げれば、そこに立っていたのは……。
「真澄さん!」
急な出現で思わず名前を呼んでしまい、慌てて辺りを見渡す。
良かった、誰もいない。
何事もなかったかのように、真澄さんにペコリと頭を下げる。そのまま黙って彼の横を通り過ぎようとしたわたしの右腕はがっしり掴まれ、大きな体に阻まれてしまう。
「真澄さん、離してください」
小さな声で訴えた。
バックヤードとは言え、誰が来るかわからない病院内。こんなところを愛川先生ラブの新人たちにでも見られたら、厄介なことになるに違いない。
ここにいたらマズいかも。仕方がない……。
何も言わず空いている方の手で彼の腕を掴み無理やり引っ張ると、物品庫にその大きな体を押し込む。もう一度誰もいないか確認しながら、ゆっくりドアをしめた。
「こんなところに押し込むなんて、蘭子って意外と積極的なんだな」
「こんな時に冗談言わないでください。こんなところまで、何しに来たんですか?」
わたしたち受付スタッフは当たり前のように行き来する場所だが、基本先生たちが立ち入るところではない。そんな場所にわざわざ来るなんて……。