【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「では、入院に関するご説明をさせていただきますね」
面談用の机の上に入院の手引きや必要書類を並べると、ひとつひとつ丁寧に話を進める。
入院というものは患者自身はもちろん、そのご家族にとっても不安なもの。それがはじめての入院とならば尚更だ。そんな心の不安を少しでも安心に変えられるよう細心の注意を払うのも、わたしたち受付スタッフの大事な仕事。
面談相手の話も聞きながら一通りの説明を終えると、書類等を封筒に入れる。それを患者に手渡し、にこりと微笑んだ。
どんなときでも笑顔。園枝さんの教えで基本。
「こちらからの説明は以上になります。もし心配なことがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。また担当の科でいるものがある時は、予め担当医師または看護師から説明があると思いますので」
入退院支援センターから後日、入院日時を電話で連絡することを伝えると、患者とご家族を見送った。
「お疲れ様。午前の仕事はそろそろ終わりそう?」
患者と入れ替わりで乙葉さんがドアからひょっこり顔を出し、やっぱり来たか……とガックリ肩を落とす。
今日のランチ、食べそこねるかも──
引き出しから財布やスマホが入った小さなバッグを出すと、他にスタッフに声をかけて支援センターを出た。