【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
いいわけないじゃない! もしキスの最中に、歯科助手や看護師が入ってきたらどうするのよ!。
でも真澄さんのことだ。ここがどこだろうと構わず、確実にキスするに違いない。だったら口の中を見られたほうがマシだ。
見開いていた目をギュッと閉じ、これでもかというくらい大きく口を開けた。
「やればできるじゃないか」
真澄さんは頭を撫で子供を褒めるようにそう言うと、おもむろに口の中を覗いた。
「智歯周囲炎だな」
「智歯、周囲炎?」
初めて聞く言葉に、首を傾げる。真澄さんはさっき撮ったレントゲン写真を見て、何かを考えるように顎に手を当てた。
「ここ見てみろ。親知らずが歯茎の中でひとつ手前の歯の根に向かって伸びて、その歯を押している。そのせいで歯肉が炎症を起こし腫れて、痛みを発生させているというわけだ」
「へぇ~」
「へぇ~って蘭子。結構腫れてるんだけど、かなり前から痛かったんじゃないのか?」
「う~ん、よく覚えてない」
言われてみれば以前から違和感があったような、なかったような。歯を磨く時にたまに痛みを発しているときがあったが、特に気にはしてなかった。