【甘すぎ危険】エリート外科医と極上ふたり暮らし
「心配するな。抜歯は今日じゃない」
「え? そうなの?」
てっきり今すぐ、抜かれると思っていた。だったらそうと、もっと早く言ってくれればよかったのに。
安心したからか少し心の中が晴れ、落ち着きを取り戻す。
「炎症を起こしている間の抜歯はできないからな、腫れと痛みが治まった後に抜歯する。そうだなぁ、来週の土曜日はどうだ?」
「はい、大丈夫だと思います」
アパートも修繕中、真澄さんのところでお世話になっているわたしには、特に予定もない。土曜日は予約診療しかないから出勤も月に一度だけ、来週末は私の当番じゃなかったはずだ。
「今日は腫れている歯肉を洗浄して、抗菌薬と鎮痛薬を出しておく。細かい話は、また帰ってからでいいな?」
コクンと頷くと、マスクで隠された口元はわからないが目元は笑っている?
それにしてもイケメンというのは、顔が半分以上隠れていてもイケメンなのね。カッコいいのは、認めるしかなさそうだ。
ジッと真澄さんの顔を眺めていると、彼の目が何かを探るようにスッと細められる。なんとも色っぽさを感じる目に心拍数が上がりはじめ、慌てて目線をそらした。
「なに? 仕事してる俺はカッコいいとか?」
「はぁ!? な、なに言っちゃってるんですか?」
心を見透かされて、激しく動揺してしまう。チラッとますみさんを見ると、笑いをこらえているのか、微妙な表情でわたしを見ていた。