終わりは始まりか ~私達の場合~
ずっと結婚という形にこだわって来たのは伊吹の方だ。

「もういいじゃないか。あいつはもうここへ来ないんだろう?」

伊吹は優しい表情を私に向ける。

「結婚しなくても、もう美月と陽輝には俺しかいないんだから。」

確かにそうだ。

お父さんに何かがあった時に、もう頼るのは伊吹しかいない…。

「伊吹、どうしようもない娘だが、孫共々よろしく頼む。」

お父さんは真面目に頭を下げた。

「お父さん…。」

「親父さん…。」

私と伊吹の声が重なる。

この時、お父さんには何か予感があったのだろうか。

それから2日後、お父さんが家で倒れたのだ。

「親父さんはどうだ?」

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