終わりは始まりか ~私達の場合~
「麻生くんの子供が宿ったと分かった時、本当に嬉しかったの。だから私は一人でこの子を育てていくって決めたの。でもその事によって周りに大きな負担をかけてしまった。私の選択は間違っていたのかもしれない…。」

「それは違う。」

伊吹は私の両手首をつかむ。

「陽輝が生まれた事によって確かに大変だったけれど、その分誰もが幸せをちゃんともらっているんだ。それはその大変さと比べられないぐらい大きい。」

伊吹はチラリと陽輝を見る。

「親父さんだっておばさんだって、ちゃんと孫をこの腕に抱けたんだぞ。お前の一番の親孝行だと言っていいと思う。それほど二人が喜んでいたのを俺は知っている。」

私はそんな伊吹の言葉に素直に顔を上げられない。

「まだ若い麻生くんに、事故みたいに出来た陽輝の責任を負わせるつもりはなかった。それでいいと思ったの。」

私は勢いでそんな事を言ってしまった。

「すべてを自分で抱え込もうとするからそんな風に考えてしまうんだ。そんな考え方で、向こうの会社でも働いていたのか?」

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