終わりは始まりか ~私達の場合~
そこでにんまりと麻生くんが笑う。

「もうあの店で話し出した時点で、俺だけではなく美月さんにとっても俺は特別な存在だったはずですよね。」

「そうなのかもね。」

私の素っ気ない返事に麻生くんは嬉しそうに私の手を取る。

「さあ、陽輝が待っています。俺達の大事な息子が。早く帰りましょう。」

これからはこんな風に左手を差し出す旦那様の仕草にも慣れていく事だろう。

「明日には俺の荷物が届きますから、よろしくお願いしますね、奥様。」

私達は手をつないで歩き出した。



< 完 >



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