終わりは始まりか ~私達の場合~
「なんだ…。」

私は少しほっとしたように笑う。

「あの時、下っ端なんて言うから…。」

そう、私達の歳の差は4歳。

思ったより年下でなかった麻生くんの顔を見る。

「あの会社ではれっきとした下っ端だったんです。あの時は…。」

私達はまだまだお互いの事をもっともっと知らなければならない。

「これからお付き合いするみたいね、私達。」

「俺はかなり美月さんの事は知っているつもりですがね。」

そして麻生くんはニッコリと笑う。

「会社では辞めた後も美月さんの事を悪くいう人はいませんでした。特に佐藤さんには美月さんの事をたくさん聞きました。でも美月さんのプライベートは全く分かりませんでした。それは…。」

「えっ?」

「それをさらけ出せる相手が居なかったって事ですよね?」

< 180 / 181 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop