Mirror Ball
それ程のハングリー精神で生きて来た眞智子だが、今と成っては仕事に何のやり甲斐も感じない。決まった煽り文句で、お客に商品を買わせ、口角を上げて事務的にレジ打ちをし、什器の商品を畳む。
売り場に異動したての頃の、商品一ツを買って頂く喜びは、最早忘れた。
服一枚、簡単に買わせられる。狙いを絞ったら、ある程度の距離を保ちつつ、お客の褒め所を持ち上げれば、喜んで買って下さる。「女ホスト」と、眞智子は笑った。
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