勇気の魔法は恋の始まり。
水帆自身、このきっかけが些細な事だとはわかっていた。

 そのため、何度も克服しようと試みたが、高校生になると成長した豊かな胸に目を向ける男性が増え、水帆の男嫌いは加速したのである。

しかし、そんな水帆にも心境の変化があった。
 
 杏を見ているうちに少しだけ恋に憧れを抱いたのだ。
 
 と言っても、やはり男の人は怖いので何もアクションは起こせないのが現実だった。
 
 ただ杏が北斗の隣で笑うのを眺めていると水帆までほっこりするのだった。

 今も杏と北斗は楽しそうに話し込んでいる。

 自分があんな風に誰かと付き合うというのは想像しづらかった。
 
 そんなことを考えながらジュースを飲み終わると、水帆はスケッチブックと鉛筆だけ持って立ち上がった。
< 15 / 50 >

この作品をシェア

pagetop