勇気の魔法は恋の始まり。
「ああいうところ、ほんと子供だよな。流星もだけど。」

 杏が出て行くのを見送って、北斗が苦笑いで口を開く。

その言葉に教室中の同級生が一斉に頷く。

「え。俺はちゃうやん!」

「きみもなかなかだよ、流星クン。」

 そう返すみっちょんに大袈裟なリアクションをする流星。

それをスルーしてみっちょんが北斗に尋ねる。

「北斗くんが告ったんだっけ?意外だったんだけど。」

「それな!どこが好きになったん?」

 その質問に思わず水帆も手を止める。

それは水帆も気になっていたところである。

杏がモテるのが不思議なわけではないが、賑やかで面倒くさがりの杏とおとなしく優等生の北斗ではタイプが違う。

いつも水帆と一緒にいてくれる優しい二人であるが、水帆は二人の馴れ初めはよく知らず、疑問に思っていた。
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