勇気の魔法は恋の始まり。
「用はなんですか?」

 慌てる彼に北斗が冷静に訊くと、

「あ、そうそう、ごめんね、彼女に落し物を届けたかっただけだから。」

 彼はそう言うとニコニコと私を指した。

 杏と北斗はまだ警戒しているが、水帆から見ればちょっと変わり者のただのいい人だった。

 ニコニコしているため尚更そう見える。

「落し物、ですか?」

 水帆が首を傾げると、彼は自分のリュックをゴソゴソし始めた。

 が、一向に落し物が出てくる様子がない。

「あれー?ないなー。おかしいなー。家に置いてきちゃったかも。」

「あの、全然今度でも大丈夫ですよ?」

「本当に?じゃあお言葉に甘えて。名前と学科、教えてもらってもいい?」

「美術科一年の白石水帆です。」
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