片翼の蝶
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教室に戻ると、何故か騒がしかった。
みんなが一つに集まって何かを話している。
不思議に思いながらドアを潜って席に着くと、
みんなが私を一斉に見た。
何?何かした?
そう思って目をぱちくりさせていると、
貴子が私の机に手を置いた。
「茜。大丈夫だった?」
「え、ああ、うん。大丈夫。
ちょっとお腹痛かっただけ」
「そう。なら良かった」
貴子は胸を撫でおろして笑った。
こういうところ、貴子は優しいと思う。
本気で心配してくれるのは貴子しかいない。
本当に、いい友達を持ったと思う。
私は貴子に笑顔を返して、
人だかりが出来ている方へ目を向けた。
「なにしてるの?」
「ああ、これ?茜、噂になってるわよ。
高田は茜と付き合ってるんだって」
「えっ!」
「さっき庇ったでしょう?
だから本当は付き合ってるんじゃないかって、
みんな噂して盛り上がっているのよ」
そんな話をされても困る。
私と高田くんはなんでもないどころか
話したことすらないんだから。
私が慌てていると、
高田くんが鬱陶しそうに友達を押しのけていた。
「だから、なんで俺が高杉なんかと!」
なんかっていうのは失礼だと思うな。
私だって一応女の子なんですけど。
女の子には優しくしろって、
お母さんに言われなかった?
「高杉!俺ら、何でもねぇよなぁ!」
「う、うん」
慌てて返事をすると、
みんなが落胆の声を上げる。
私は珀を睨みつけた。
助けてもらった身だから何も言えないけど、
珀のせいなんだからね!