チャンスをもう一度

和美・・・

大学の卒業の日
やっと陽翔を家に連れて帰った。

何を話しかけても
 黙ったままで・・・

誠が帰宅して
話しかけても黙ったまま

陽翔の心が壊れた·····と思った。

誰とでも打ち解ける子ではないが
友人も多く、私達とも色々な事を話して
くれる子なのに・・・

翌日には、少しは違うかもと
部屋に行くと
着替えてはいたが
昨日と同じように
  椅子に腰かけたまま・・

「陽翔!陽翔!ご飯食べよう!」
と、言っても動かず
食事を運んでも食べない。

卒業式の日は、
春美さんと絢菜ちゃんには
陽翔も疲れてるからと伝えた。

二人とも心配してくれたが
ゆっくりするように言ってくれた。

だが、2、3日すると
絢菜ちゃんがしびれを切らして
やってきた。

陽翔の今の状態の話しはしていない
絢菜ちゃんは、陽翔に話しかけ
びっくりしていた。

事情を話すと
絢菜ちゃんは、一度 立ち去った
ああ、諦めたかな?
と、思っていたら
ペットボトルをもってきて
陽翔に飲ませた。

それから、私を連れ出して
内容を話してくれて
今まで陽翔に支えてもらったから
今度は私にやらせてほしいと言った。

戸惑ったけど、真剣な絢菜ちゃんの目に
任せてみようと思った。
昼は絢菜ちゃんが、
夜は私が見ると言うことで。

絢菜ちゃんに呼ばれて行くと
陽翔は、机に突っ伏していた。

ああ、寝てくれたんだと
二人でベッドに寝せた。
陽翔の顔は、無精髭と目の下の隈
頬が痩けていた。

こんなになって・・と涙が出るが
寝かせてあげたかったので
二人でそっと部屋をでた。

明日様子を見に来ますと言って
絢菜ちゃんは、自宅に帰った。

2、3日は、寝ておきてを繰り返し
少しずつ食事もとれるように
なってきた・・陽翔。

その変わりに、元気がない
絢菜ちゃん・・・

二人の間に何が
起こっているかわからなかった。
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