政略結婚ですがとろ甘な新婚生活が始まりました
環さんに向き合ったように、きちんと話そう。
今まで向き合えなかった分、隆と向き合おう。
小さく深呼吸して、小ぶりのショルダーバッグのベルトをギュッと握りしめる。
「ううん、結婚したの」
いざ口に出すと緊張で、ドキドキと鼓動が早鐘をうつ。
「……そうか」
隆がそう言って、少し苦しそうな表情を浮かべた。
……どうしてそんな顔をするの?
「あの、隆」
声をかけると、彼が突然勢いよく私に頭を下げた。
「彩乃、ごめん。別れる時も別れてからも、俺は酷い態度だった」
……何を言っているの? どういうこと?
頭の中を疑問符が駆け巡る。
私たちの隣を幾人もの人が通り過ぎていく。なかには無遠慮な視線を投げかける人もいる。
「た、隆、顔を上げて!」
驚いた私は彼に声をかける。隆に頭を下げられる理由がない。謝るべきは私だ。
「いや、俺はお前にきちんと謝罪して、話さなきゃいけないことがあるんだ」
頭を下げたまま、重々しい口調で彼が言う。
「聞くから、お願いだから頭を上げて!」
必死の思いで彼に言うと、やっと彼が頭を上げてくれた。
彼の顔は苦渋に満ちていた。
彼は私がずっと無理をしていると思っていたらしい。
いつからか笑わなくなり、隆の反応を窺って、気遣っている私の様子が辛かった、と言った。
「……本当は彩乃と別れたくなかった。俺を本気で好きになってほしかった。それなのに俺は彩乃と向き合う勇気がもてなかった。お前に見限られるのが恐かった。だから自分から別れを切り出した」
自嘲気味に彼が言った。
隆は私と別れるために、好きな子ができたと嘘を吐いたという。さらには眞子に自身が婚約したと言ってほしいと頼み込んだそうだ。
私がもう二度と隆に未練をもつこともないように、と願って。眞子は反対していたが、彼の並々ならぬ熱意に負けて渋々了承したという。
今まで向き合えなかった分、隆と向き合おう。
小さく深呼吸して、小ぶりのショルダーバッグのベルトをギュッと握りしめる。
「ううん、結婚したの」
いざ口に出すと緊張で、ドキドキと鼓動が早鐘をうつ。
「……そうか」
隆がそう言って、少し苦しそうな表情を浮かべた。
……どうしてそんな顔をするの?
「あの、隆」
声をかけると、彼が突然勢いよく私に頭を下げた。
「彩乃、ごめん。別れる時も別れてからも、俺は酷い態度だった」
……何を言っているの? どういうこと?
頭の中を疑問符が駆け巡る。
私たちの隣を幾人もの人が通り過ぎていく。なかには無遠慮な視線を投げかける人もいる。
「た、隆、顔を上げて!」
驚いた私は彼に声をかける。隆に頭を下げられる理由がない。謝るべきは私だ。
「いや、俺はお前にきちんと謝罪して、話さなきゃいけないことがあるんだ」
頭を下げたまま、重々しい口調で彼が言う。
「聞くから、お願いだから頭を上げて!」
必死の思いで彼に言うと、やっと彼が頭を上げてくれた。
彼の顔は苦渋に満ちていた。
彼は私がずっと無理をしていると思っていたらしい。
いつからか笑わなくなり、隆の反応を窺って、気遣っている私の様子が辛かった、と言った。
「……本当は彩乃と別れたくなかった。俺を本気で好きになってほしかった。それなのに俺は彩乃と向き合う勇気がもてなかった。お前に見限られるのが恐かった。だから自分から別れを切り出した」
自嘲気味に彼が言った。
隆は私と別れるために、好きな子ができたと嘘を吐いたという。さらには眞子に自身が婚約したと言ってほしいと頼み込んだそうだ。
私がもう二度と隆に未練をもつこともないように、と願って。眞子は反対していたが、彼の並々ならぬ熱意に負けて渋々了承したという。