政略結婚ですがとろ甘な新婚生活が始まりました
叔母が今日誘ってくれた主旨をようやく理解する。

もちろん、親切な叔母のことだ。お茶会や買い物も本心だろう。でも一番はこの写真を渡したかったのだろう。

「お見合いをするのは彩乃ちゃんだから、彩乃ちゃんが決めればいいのよ」
黙り込んだ私に、叔母が心配そうに声をかける。
私は小さく首を振る。

私にはもう恋なんて無理だろう。
それならば祖母の言う通り見合いをして結婚をするのが一番なのかもしれない。

見合いならばある程度は私のことを知ったうえでその場に臨んでくれるのだから、嫌われて結婚するということはないだろう。政略結婚や策略結婚でもない限り。そもそもそんなだいそれた相手との縁談が舞い込むはずもない。

お互いの事情や立場を理解し、尊重し合って穏やかな関係を築ける人に出会えるかもしれない。そう考えると、見合いをすればすべてが丸く収まる気がしてきた。

「叔母さん、私、前向きに考えてみます」
叔母の顔を真っ直ぐに見つめて返事をすると、叔母が目を見張る。

「ちょっと、彩乃ちゃん! 写真も見ていないのにいいの? 自暴自棄になっていない?」
狼狽える叔母をよそに私は冷静だった。こくりと黙って頷くと叔母は仕方ない、といった表情を浮かべた。

「とにかく、写真だけでもあとできちんと見て頂戴。母にはそれから返事をするから。当日になってキャンセルはできないのよ」

そう言って叔母はあまり乗り気ではない様子で、茶封筒を渡してくれた。厚みのないその封筒がとても重く感じた。
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