政略結婚ですがとろ甘な新婚生活が始まりました
返答に詰まる。そういうことではない。そういう問題じゃない。

でも何を口にしても私が納得のいく答えはもらえない気がする。彼の本心が見えない、何を考えているのかわからない。

とんでもない発言をしているのに、この人はまったく動揺していない。

「私は相良さんに会いに来たんです、よ?」

自分に言い聞かせるように、ゆっくりと同じ言葉で返事をする。それしか気持ちを落ち着ける方法が見当たらなかった。


「相良は君とは結婚しない。相良に君は必要じゃない」


彼が再度口にした真実。その言葉は拒絶と共に私を追いつめた。


私は必要とされていない。


その事実に胸が軋んだ。厳密に言うと少し違う。だって私は相良さんと面識がない。だから彼が私を選ばず、交際相手を選んだことは当然といえば当然だ。

反射的に別れたばかりの恋人の顔が浮かんだ。私は誰の一番にもなれない。そう思うと、ふいに自分がひとりぼっちになってしまったような錯覚に陥った。

「そう、ですか」

自分でも思った以上に、覇気のない掠れた声が零れた。身体から力が抜ける。

見合いなら、と思った。
お互いの条件をすり合わせ、結婚を目的にするのなら私にだってチャンスはたくさんあると傲慢にも思っていた。まさか自分が断られるなんて考えもしていなかった。

私はどこまで高慢で自分勝手なのだろう。こんな私じゃ誰にも選ばれなくて当然だ。

真っ白なテーブルクロスの上に優雅なティーセットが置かれたテーブル。その上で無意識に私は両手の拳を痛いほど握りしめていた。
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