愛の囁き☆私は強くない番外編☆
仕事終わりの人達が、ひしめく店内で私が盗らないで!と叫んだから、一斉に注目を浴びてしまった。

倉橋さんは、驚いていたけれど、すぐにこう返してきた。

もう少し冷静に話できない?

と。

勝ち誇ってるつもりなの?
私には何もないのに、自分が強いって言いたいの?

「冷静って!」

私は我慢出来ずに、泣いてしまった。

泣いた私に追い打ちをかけられた。

「あのね、私が何かした?」

何かした?
なんなの?したないって言いたいの?
私から拓真さんを奪ったじゃない。
こんなにも私が苦しんでいるのに…

「してるじゃないですか!」


私の強がりも限界が来ていた。
倉橋さんがイライラしているのが、目に見えた。
待ち合わせしているのは、誰?
もしかして、拓真さんなの?

きっ、と倉橋さんを睨むと、怯むことなく、

「あなたに指図される覚えはないから。自分で拓真を引き止めなさい…」

自分で引き止めなさい?
引き止めてるわよ、あなたがしがみついてるんでしょ!

店を出ようとする、倉橋さんに叫んでいた。

「逃げるんですか!」

泣いていた涙も枯れていた。

私を置いて、倉橋さんは店を出て行った。


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