一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
ティオ族の巫女の力のことを知っているのか。
知っていたのなら、それはいつから。
青白い光りに照らされた洞窟の入り口で、メアリはユリウスに見つめられたまま身動ぎひとつできずにいた。
メアリの力について知るユリウスが、自分をどこに連れて行こうとしているのか。
いや、そもそもそこに繋がりはないのかもしれない。
変に疑いそうになるのは、内通者のことがあるからだ。
ユリウスはただ予知の力について知っていて、あの夜、偶然メアリがその持ち主だと知っただけ。
それだけなのだと、そう、思いたかったのだが。
「残念だな、メアリ。君が予知で、俺がヴラフォス軍に帰るところまで見れていたら、君は今頃俺に騙されずに済んだのに」
ユリウスは薄く笑みを浮かべ、メアリの淡い期待を裏切り、告白した。
『とにかく、メアリ王女は騎士隊長の中に内通者がいる可能性を捨てず、慎重に行動を』
イアンの忠告が脳裏に蘇ると、メアリはいつのまにかカサついてしまった唇を動かす。
「あなたが……内通者」
ユリウスは笑みを崩さず、肯定も否定もしない。
けれど、先ほどの言葉が真実ならば、ユリウスはヴラフォスと通じているのだ。