一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない


「何、を」


何を言っているのかわからないと、そう誤魔化すのが正解だったろう。

ジョシュアやイアンからも知られてはいけないと厳しく言われてきた。

けれど、あまりの衝撃にメアリは誤魔化しの言葉を紡ぐことができなかった。

ただ、この状況がおかしいことだけはしっかりと理解できたメアリは、初めてユリウスに恐怖を感じ手を離そうと腕を引く。

けれど、逃すまいとするように、ユリウスの大きな手が強く握った。


「ユリウス……離して、ください」


願うも、ユリウスは手首ごと掴んで口元に笑みを乗せる。


「約束を守ってくれるんだろ?」


そう言ったかと思えば、メアリを強く引き寄せ顔をぐっと近づけた。

至近距離でユリウスが見つめるのはメアリの瞳。


「目的地に着く頃には、また赤い瞳の君に会えるといいな」


その言葉に、メアリの心臓が強く激しく脈を打つ。

宿場町で過ごした満月の夜、やはりユリウスに見られていたのだ。

それに加え、ユリウスはメアリの力についても知っている。


< 177 / 330 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop