一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
ユリウスがヴラフォス帝国の皇子であること。
メアリがそのことを色濃く感じさせられたのは、宮殿に入ってからだ。
ヴラフォス帝国の旗を思い起こさせるような赤色の壁に囲まれたエントランスホールでは、出迎えた使用人たちが一斉にユリウスに傅いた。
全使用人の長だという者に指示を出したユリウスは、先程メアリをメイドたちに案内させ兄の元へ挨拶に向かった。
「メアリ様! 湯浴みのお支度が整いました。どうぞこちらへ」
新人だという元気なメイド、ロッテにお手伝い致しますと服を脱がされそうになり、メアリは慌てて断る。
普通の町娘として育ってきた為、どうにも全てを手伝われるということに慣れず、メアリはアクアルーナでも最低限のことは自分で行なっていた。
湯浴みにしても、ひとりで脱着可能であればわざわざ手伝ってもらうことはしない。
「では、ドレスをお持ちしますね」
「ドレス!? いえ、私はそんな、今着ているようなもので大丈夫ですから」
「そうなのですか? では、別の物を用意して参りますので、メアリ様はどうぞ薬湯でお寛ぎくださいね!」
「はい。ありがとうございます」
ロッテが出ていくと、メアリは服を脱ぎ、大理石の柱とステンドグラスが飾られた仄暗くも広い浴室へと入る。