一途な騎士はウブな王女を愛したくてたまらない
自分はアクアルーナの王女で、唯一の王位継承者。
そして、ユリウスはヴラフォスの皇子だ。
帝国を、父と兄を支える為、このままヴラフォスに残るのだろう。
つまり、帰国を予定している明日には別れることになるのだ。
(じゃあ、あの予知は何? 私ではない別の人との未来を視た?)
ズンと心が鉛を入れられたように重くなる。
今まで別の人物の目を通した予知は見たことはない。
けれど、ユリウスへの想いが変化をもたらした可能性もあるかもしれないとメアリは考えた。
「あの……ユリウスは」
これからどうするのかと聞きかけてやめる。
それを聞くならば、本人の口からちゃんと聞きたいと思ったからだ。
「ユリウスが?」
「いえ、やっぱりいいです」
頭を振ったメアリに、ルシアンは気になりつつもそれ以上追求するのをやめた。
「そう? あ、そうだ。父上が君を探していたよ」
「陛下が?」
何かあったのだろうか。
国交に関することであればイアンもいた方がいいかもしれないと思うも、とりあえず一度話を聞いてみようとルシアンに別れを告げたメアリは別棟へ行くのを後回しにし、ロッテに皇帝の部屋に案内してもらう。