とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

 シュルっとネクタイを解きながら、いそいそと着替えているように見える。

「出汁から作るおかゆで、看病してみたかったんだ。紗矢の様子だと風邪じゃなくて知恵熱だと思うけど、作らせて」

「うう。ベットで寝てたらいい匂いが下から漂ってくるのって拷問に近いです」
「でも少しは寝てな。寝たら下がるはずだから」

 ガシガシと頭を撫で、彼は飛ぶようにキッチンへ降りて行った。
 昆布かな。昆布と鶏肉、あと冷蔵庫に祖母が贈ってきた蜂蜜梅干しがあるから梅干しもつけてくれそう。

「……」

 少しだけ寝て、起きたら今後のことを勇気を出して聞いてみようかな。
 でも喬一さんの仕事に影響は全くないだろうから、相談するなら兄のほうか。

 でも私に甘い兄のことだから気にするなと言うに決まっている。
 目を閉じて、うとうとしたころ、白だしと鮭のいい匂いが下から漂ってきたのだった。


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