とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
*
それから、具合は全く悪くないのだけど原因不明の微熱が続いた。
喬一さんが心配するので、実家に余計な心配をかけるわけもいけないと、初めての年越しは帰省せずに二人だけで家で過ごすことにした。
喬一さんが御節の準備をする中、私はリビングに出してもらった炬燵の中でぬくぬくと数の子の筋を取っていた。
「うーん」
「どうしました? 喬一さん」
「……多分なんだけど」
「はい」
「正月明けに病院に行ってみた方がいいかな」
「……えええ。そんなにこの微熱、悪いかんじですか
ためらいがちに言ったから、驚く。そんなに悪いの?
「一応、だよ。正月は酒は控えた方がいい。生ものも一応避けとこうか」
炬燵から飛び出して、御節を重箱に摘めていた喬一さんのところへ向かう。
「もしかして、私、何か病気ですか?」
「俺は外科医だから診断できないけど、この一か月、色々環境が変わって体が驚いてるだけだとおもうよ」
口の中に栗きんとんを押し込められる。ほどよい甘さで、口の中に幸せが広がった。
「美味しい」
「だろ。年越しそばももう打ってあるし、お雑煮も網の上で焼いたのいれるよ。ゆっくり寛いで」
「喬一さん」
抱き着こうとしたら、次は鳥ハムを口の中に押し込められたのだった。