とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
その残った年賀状を二人で確認するけど、お互いの仕事の取引先やお世話になった人たちだった。
問題は一切親戚付き合いしていない、彼の年賀状の方だ。
「こっちは見ていいですか?」
「いや、見なくていいよ。姉の従兄弟のそのまた従兄弟の奥さんの会社、とか果てしなく遠い人とか、自称親戚とか、気づいたら親戚だったとか、はたまた家系図を遡ったらたぶん親戚とか、きわめて関りがない人たちだし」
いやに饒舌に語る隙のなさ。本当に私に関わってほしくなさそうだ。
見たいけど、放っておくほうがいいのかと彼と年賀状を交互に見ると、深い嘆息が私の頭に降ってくる。
「本当に、関わらない方がいいよ。あいつらは親戚付き合いを続けたいんじゃなくて、うちの伝統や権利や今まで培ってきた取引先との関りを利用して甘い蜜を吸いたい奴らだ。紗矢が利用されたら、俺は何をするかわからない」
「そんな、大げさな」
「俺の料理の腕はすなわち、メス裁きのうまさを表す。この技術で何をしてしまうかわからないよ」
変にいつもより低い声で言うので、年賀状を落としてしまう。
「嘘だよ。俺が嫌なんだ。変な苦労をする必要はない」
な、と言われ、頷く。そこまで嫌なら私が余計な口を出す必要はないんじゃないか、と思う。