とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
あの高い山のように積まれた年賀状は、彼の決意の表れでもあるのかもしれない。
「……本当に、きっと辛かったと思うんだ」
クリスマスツリーのプレゼントを一つ、取る。中には、ハンドクリームが入っていて花の甘い匂いがした。
それを塗り、少し取りすぎたので彼の手を握っていつも料理してくれている指先を撫でていた時だった。
零れるように、喬一さんは言った。
「祖母が用意した着物を着て、一生に一回しかない式で、姉は気丈な人だし俺にも愚痴らない人だけど、きっと辛かったと思うんだ。着飾って、お祝いを言われる場で、親戚の半分以上が欠席なんて」
「……」
「紗矢の花嫁姿はとても綺麗で、その姿を自慢したいと思ってしまったけど、反対に紗矢にはあんな辛い思いをさせたくないんだ」
握った手を奪われ、喬一さんの口まで持ち上げられると口づけを落とされた。
「ごめんな。面倒くさいだろうけど、もう離してあげられないから。だから我慢して」
「……我慢、とは思いません。そんなに辛いなら私が壁になればいいかなって思ったんです」
「それも俺が我慢できない。気にしなくていいよ。もしこの家に自称親戚が来たら、キッチンの下に塩の入った袋があるから袋ごと投げていいから」