とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
「容赦ないですね」
クスクス笑いつつ、背伸びして喬一さんの髪を撫でた。
私のためにそう決断してくれたなら、私ももう気にしない。
完璧な人間なんていない。地位や財産を狙ってすり寄ってくる人なんて、私だって散々見てきた。私の家も会社も気にしないで、私だけを甘やかしてくれる喬一さんに、不満なんて何もないのだから。
「もう聞きません。何度も嫌なことを思い出させてしまってすいません」
「全然。俺の我儘だから、紗矢は気にしないで」
「よし。林檎飴と焼きそばとチョコバナナとカステラ焼きを食べに行きましょう」
「それ、夜ご飯は食べれるの?」
クスクスと笑われたので、私は必死に背伸びして彼の耳に手を当てて囁く。
デザートを食べるぐらいの余裕は残しますと。
彼はその意味に気づいて、蕩けんばかりに笑ってくれた。