とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。


 そんな慌ただしい中、インターフォンが鳴った。こんなお正月で忙しい時期に、段ボール二箱も届けてくれる宅配業者さんには頭が下がる。

「お婆ちゃんからです」
「お、野菜か。俺が持つよ」

 軽々と段ボールを二箱持つと、うきうきとした足取りでキッチンへ向かう。

 段ボールを開けると、お米と土がついたごぼうと大根、キャベツと人参、玉ねぎまである。

「贅沢だね。この野菜たっぷりの鍋が食べたい」
「いいですね。おばあちゃんも喜びます」
「おや、きゅうりがないようだけど」
「喬一さん!」


 大根を握ると『生ハム大根』と呟いて爆笑していた。久しぶりの長期休暇に、心なしか喬一さんも浮かれているように思える。

 お返しにうちのおばあちゃんにハンドクリームと手袋、そして美味しい新茶など抜かりなく贈っているこの人は、私の旦那ではなくもしやお嫁さん?

「それより早く着換えないと、お姉さんを待たせてしまいますよ」
「そうだね。野菜は名残惜しいけど、帰りに一緒にスーパーにでもよって鍋の買い物もしたいし」
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