とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
「私もそう思います。喬一さんが駄目だってわけじゃないですよ。結婚式の着物、本当に素敵でした。一人ひとりしっかりと観察して、合った色や着物を選んでくださるし、素晴らしい才能ですし、着物が好きな方なんだなって思ったんです」
「姉さんも喜ぶんじゃないかな」
まんざらでもなさそうに少し口角を上げる。
喬一さんの、自分の身内を悪く言わない部分も尊敬していたりする。
私はつい父のナルシストな部分に悪態をついてしまうから。
「でもまあうちは他の家より厳しかったかもしれないな。だからこそ、紗矢の家が居心地が良かったのかも」
「……酔っぱらった父が喬一さんに腹筋させようと絡んできたり、お酒飲んで寝落ちした兄を部屋まで運んでくれたり、迷惑しかかけてない気がしますが」
「それが楽しいんだ。あと段ボールいっぱいの野菜。それと、紗矢かな」
「私もですか」
「俺のこと、見ててくれたでしょ」
「えっ」
車が右に曲がると、遠くに訪問者用の駐車場が見えた。が、すぐに更に曲がり、身内用の駐車場へ入っていく。砂利道で少し車がカタカタ揺れるが、私はそれどころではない。
「控えめに勉強をするふりしてこちらを見る紗矢、可愛かったな。俺の方がこの家に憧れて通っているのに、勉強の邪魔にならない位置で見てるの」