とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
「わ、分かってたんですか」
「当たり前。観察してたのは俺だからね。でも男性にめんえきがないだけだろうと期待はしていなかったよ」
眼鏡のフレームを上げながら、余裕の顔でさらりと言った。
当時の私はそれほどバレバレだったとは恥ずかしい。
「それで、兄が一人暮らしするなら自分は家に居なきゃって進学に悩んでいる、いじらしさとか。一矢とおじさんの干渉と過保護のせいで、男性と全く関わり無くて初々しい感じ。俺も今のうちに唾をつけて、自分以外の男と関わらないようにしようか、血迷ったぐらいだ」
「ひえ。知らなかった。いや、今でも男性はあんまり。会社では父や兄に近寄りたくて胡麻を擦ってる人ばかりだし」
「本当かな」
クスッと笑われる。
「本心で君を綺麗だと思っていた奴らも大勢いただろうね。可哀そうに」
車を止め、恭しく助手席のドアを開けてくれる。
「でももう俺の奥さんだから、可哀そうな奴らは一生可哀そうで結構。俺の計画勝ちだ」
「……何か浮かれています? というか酔ってる?」
「酔ってませんよ」