とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
「そうなんですね。お姉さんは」
「家内は今、届いた鰻を配膳しております」
「じゃあ私もお手伝いを」
「いえいえ、紗矢さんたちはお客様ですので客間でお待ちください。さ、中へ」
旦那さんが中へ促してくれる。喬一さんの方へ振り返ると、ポケットに入れていた仕事用の携帯から着信が鳴り出した。
「……先に入ってて」
段ボールを車の上に置くと、距離を取って話し出した。仕事が入ったのか、喬一さんの顔が少し険しくなっている。
「案内しますね。野菜も僕が運びます」
「え、いえ、これぐらい、私が」
「いえいえ。僕だって男ですから。女性に持たせたら、家内に怒られます」
「では、ありがとうございます」
ちらりと喬一さんの方へ視線を向けると、申し訳なさそうに片手を上げていた。長引きそうなので、お言葉に甘えて、先に中へと入った。
いつもなら元旦から着物の着付けで社員が朝から忙しく働いているらしいけど、今年から着付け会場を何か所か場所を借りて、神社の近くや成人式会場の近くでしているらしい。