とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

「ふふ」
 喬一さんも塩を投げるじゃなくて、塊ごと投げようとしていたなと思い出してつい笑ってしまう。姉弟らしい。

「笑い事じゃないですよ。そんな重いもの、大事な体で持たないでください」
「だからこんなの重たいうちに入らないってば」
「大事な身体?」

 私も大根を段ボールに戻そうとしていた手を止める。そして、柔らかく笑う綺麗なお姉さんの顔に、察する。

 塩を奪った麗一さんが、照れながらお姉さんのお腹を擦った。

「まだ二か月で、安定期になってから報告しようと思ったんですが、雅が我慢できないと言うので」
「だって。はやく言いたいでしょ」

 見つめ合って甘い雰囲気の二人の世界に遠ざかっていく。私の前で二人の世界に入らないでください。ああ、喬一さんの甘さはお姉さん譲りなのね。

「左京くんが来てるのに、収拾がつかないのかい?」
「ええ。叔父様、お酒を摂取されているみたいなので。茹でタコみたいよ」
「僕が出ていくから、君は紗矢さんといなさい。客間に絶対に来ないでくださいね」

 念を押すように何度も何度もお姉さんに言いながら、真っすぐに前を向いて歩いて行かれていた。線の細い、柔らかそうな人だったのに、お姉さんを守ろうとする芯の強い部分がはっきりと感じる。それが、お姉さんが彼に惚れた部分なのかもしれない。

「ごめんなさいね。喬一は?」
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