とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

「ええ。麗一さんが息巻いて客間に行ったけど、格好の獲物が来たといじめられるんじゃないかしら」
「助けに行かないのか」
「今は行ったら怒られるの」

 喬一さんは上着を脱ぐと、そのまま客間の方へ向かおうとする。
 どうやら撃退しに行くようだ。

「あの、お仕事は大丈夫ですか?」
「ああ。実家にいると言ったら、一番近い人物に打診してもらようにした。正月を楽しむのは良いのだが、新年早々骨を折る事故は、本人も辛いだろうに」
 どんな怪我の内容だったが知らないけど、依頼内容を聞いただけでげんなりしている様子だ。
 少し仕事モードのぴりっとした緊張感もあったけどそのままで親戚の方に会って大丈夫なのかな。

「あそこは閉店した他店を買い取ってから借金が回らなくなったって聞いたから、足掻くだろうし追い払っておくか」
「麗一さん助けてきて。塩の塊はそこ」
「ああ」

 本当に二袋持って行ったので驚いた。
 姉弟の連携プレイに拍手したい。
 いや感心してる場合ではなく、止めるべきなのかな。

「弟、貴方の前ではあんなこと言うのね。幸せそう」
「幸せです。本当に喬一さんはいつもいつも優しくて、頼りがいもあるし、料理も上手だし、格好いいし」

「うへえ。優しい! 喬一の親戚のおっさんたちへと対応は、塩どころじゃないからね」

 お姉さんが驚いたのち、「台所は寒いから、私の部屋に非難しよっか」と蜜柑の入った袋とお茶を持って立ち上がる。この後、鰻が待っているのに蜜柑なんてとてもじゃないけど食べれない。が、お姉さんに重いものを持たせたくなくて、急いで奪った。
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