とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
蜜柑の数も私が制御しなければいけない。
「おい、酔った。水を持ってこい」
二人で台所から出たら、たぬきみたいなお腹のおじさんが千鳥足でこちらにやってくる。
頭皮まで真っ赤な茹でタコみたいな人は、お姉さんの表情から見ても、先ほどから怒鳴っているおじさんだとわかる。
「おい、お前、女中を雇ったのか」
「女中じゃありません。こんな可愛らしい子、お客様に決まってるでしょう」
つんっとそっぽを向くお姉さんの代わりに、曖昧に微笑んでおく。
お姉さんは私を喬一さんの嫁だとは紹介したくなさそうだった。空気を読んでなるべく下をむくけれどその男性はわざわざ顔を覗き込んできた。
「お前の客ということは、お前ぐらい身分がある人やな。どうや、うちの息子と」
「じろじろ失礼ですよ」
「あの、お水持ってきますね」
勝手に冷蔵庫を開けて水を探す。すると、喬一さんが戻ってきて、露骨な溜息を吐いていた。
「叔父さん、困ります。勝手に歩き回らないでくれます?」
「実家を歩き回って何が悪いんだ」
「敷居を跨がないでほしいぐらい、あなた方の存在に迷惑してるんです」
思わず水を注いでいた手が止まる。
私を甘やかす言葉を吐くその唇から、相手を突き放す冷たい言葉が出るとは思わなかった。私の前とは別人の冷たい彼の言動に、少しひやりとする。
「ごめんな、喬一。ほら、オヤジ、車に乗れよ。ほら」
「離せ。自分の兄を客間で待つだけだ。何が悪い」
「金目当てなんだから、迷惑に決まってるだろ。喬一、車まで手伝ってくれ。昨日からずっと飲んでるんだよ」