とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
「ああ」
ひょいっと水を持って台所から覗くと、暴れながらも引きずられている男性はお姉さんを睨みつけていた。それを喬一さんが気づいて、冷ややかに見下ろしている。
「そんな睨んでも、貴方たちに手を貸すことはありませんよ」
冷たい喬一さんの言葉が、スイッチになったんだと思う。
その男性は喬一さんともう一人の男性を振り払うと、お姉さんに近づいていく。
「オヤジ、オヤジが悪いってば」
「お前はうるさー―」
振り払った大きな腕が、お姉さんの肩に当たった。スローモーションのようにお姉さんが倒れていく。
「お姉さん」
水を放り出して、なんとかお姉さんに抱き着く形で受け止めた。
けれどお互い着物を着ているので上手く抱き着けず、一緒に尻もちをついて座り込んでしまった。
「おね、おねえさん、大丈夫ですか? おなか、おなかは?」
「大丈夫よ。後ろに逃げるのが少し遅れただけ。はやく私の部屋に行きましょう。叔父さん、酔いが醒めてからお帰りください。すれ違う人が迷惑だわ」
気丈に立ち上がったけど、お腹は本当に大丈夫なのかな。
専門知識はないし、今の庇い方も大丈夫?
安定期じゃないってちょっとの振動でも駄目なのかな。
お尻から座り込んだので、お腹には影響ないのかな。
でも安定期前ってお兄さんが言っていた言葉がやはり気になる。
不安になって喬一さんの方を見上げると、今までに見たことのないような眼で突き飛ばした男性を見ていた。ゾッと寒気がするような凍てつく瞳。
心からその男性を軽蔑、侮蔑、そして怒り狂った目をしている。
「喬一さん、お姉さん、お腹に赤ちゃんが……」
喬一さんは目を大きく見開くと、男性の方へ向かっていく。