とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
「お姉さん、台所へ」
「ちょっと、紗矢さん」
お姉さんを台所の椅子に座ってもらうと、段ボールの中の大根を片手に走る。
今度は怯えて尻もちをついた男性と、喬一さんを羽交い絞めして必死で止めようとしている左京と呼ばれていた男性、そして何をするのか分からないぐらい冷たい表情の喬一さん。
その修羅場に私は大根を持って、間に割って入った。
「だ、だめー」
おばあちゃん、ごめんなさい。
私は今、おばあちゃんが大事に育てた大根で、大好きな喬一さんのお腹を突きました。
食べ物を粗末にして――ごめんなさい。
ポロポロと混乱して泣きながら大根を刺す私に、ようやく喬一さんが正気に戻って笑ってくれた。
「ごめん。頭に血が上った。ごめん」
「……大根にも謝ってください」
「ぷぷ。ごめん。そうだな。悪い。お詫びに美味しく料理するよ」
驚いて震えていた私の手から、大根を奪うと抱き寄せてくれた。
良かった。何も起こらず、本当に良かった。
呆然と座り込んでいたおじさんは、そのまま何度も謝る左京さんに引きずられて行き、それ以上の修羅場は起こらなかったものの、台所からぽかんと覗くお姉さんに驚いた。
お姉さんや親戚の方の前で私は、生ハムきゅうり以上の失態をしてしまったのだった。