とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
ベビーチェアーの中で揺れる二人の隣で、私はカウンターに座り、生クリームを泡立てる喬一さんを眺める。
いつも一歩下がって周りを観察しているような人。穏やかだけど、少しだけ心に傷を抱えている人。
私の帝王切開の日は、一緒に手を握ってくれた人。
生まれた瞬間、「ありがとう」って一番に私を称えてくれた。涙を浮かべた表情を見て、思わず手を伸ばしたっけ。
クールだと遠巻きにしていた人たちには、この人の優しい部分が伝わらないってのはやはり少し寂しい。こんなにも、こんなにも彼は素敵な人なのに。
黒のエプロン、銀色のフレームの眼鏡、骨ばったゴツゴツした指先。ボウルが小さく見えるし、若干似合わないのに驚くほど手際がいい。
観察していても、喬一さんの好きな部分ばかり見えてきて鼓動が早くなっていく。
喬一さんのことを考えると幸せで胸が満たされていく。
「喬一さん、とっても大好きです」
私のために生クリームを泡立ててくれる、こんな旦那様好きにならないわけがない。
世界中探しても喬一さん以上に素敵な人なんて現れない。
「そう。俺は愛してる、かな」
そんなふうにさらりと、私を蕩けさせる甘い言葉をくれるんだから、喬一さんはずるい。
できた生クリームを人差し指で掬って、ぺろりと舐める。
「甘すぎたかも」と私にはスプーンですくってくれた。
口の中に広がる生クリームの甘さは、私の心にまで染み渡る。