とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
「もしもし、どうしたの? おばあちゃん」
『どうしたじゃないよ。あんた、お見合いしたんだってな』
電話の向こうのお婆ちゃんの声が拗ねている。
どこまで私の結婚話は膨れていってるんだろうか、不安になるレベルだ。
正確にはお見合いするはずが、お見合いする前に話がついたんだけど。
「うん。でもどうなるかわからないよ」
今、たった今、女の影が浮上したんだから。
『あんたを気に入ってくださる男性なら大事にせなあかん。で、野菜は二人分送ってもいいかな?』
「気が早いってば。まだ一緒に住んでません。詳しく決まったら連絡するから」
「そう。じゃあ美味しいお芋さんとトマトとお米を入れておくわね」
話が飛躍している。おばあちゃんの中では結婚してる気でいるのかな。
おばあちゃんは、定年と共にお水のきれいな田舎で野菜を育てたいと隠居してから毎年野菜を送ってくれている。
最初、東京ドームぐらいの土地を買って野菜を育てる事業を展開しようとして親族全員で止めてから、小さな農園を買い取ってそこで野菜を育ててるので量は大量にある。
先日のきゅうりだっておばあちゃんの育てたきゅうりだ。
「はあ……」