とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。

「すいません。急にお邪魔しちゃって。日色先生、またごゆっくりお話させてください」
「ええ。私も聞きたいわ。時間を見つけてお話を聞かせてちょうだい」
「はい。今日は急にすいません。お邪魔しました」

 受付の二人が邪推するようなことは全くないとアピールして、受付の二人に笑顔で会釈する。
 何もやましいことはないので、堂々と二人を見た。
 あんな性格のいい日色先生の影口を二度と言わせないぞっと凄みを聞かせて微笑む。
 効果は分からないけど、あとで落ち込むよりは何か意思表示しておきたい。
 私より若そうな二人は、少しだけ顔を引きつらせたように見えた。



「う。寒い」
 薄いコートが風になびく。すっかり真っ暗になった空に、星が散りばめられている。
 時間を確認しようとして、コートに隠れた時計よりカバンから携帯を取り出して確認してしまう。
 その携帯のゲームアプリには、先日まで心の中の恋人だった東大寺くん。サラサラの髪に、甘く微笑み、いつも仕事終わりにゲームにログインすると『お疲れ様』と囁いてくれるのが、癒しだった。

 なのに、今はその素敵なイラストを見ても、心がときめかなくなっている。
 あんなにも課金したのに。
 ゲームの中だけで楽しんでおけば、現実の面倒くさい女同士の値踏みや、悪意ある噂話は自分に関係ないままでいられる。
「……」
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