とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
うう。無理だ。さっきの、さっきまで、こんな豪邸で落ち着かないって言おうと思ったのに。
ただいまって、たったその一言で胸が鷲掴みにされる。
毎日、あんなふうに微笑まれて言われたい。なんて。
「おかえりさないって、言われるのいいな。これから毎日聞けるのかと思うと顔がにやける」
「そうです、ね」
私も一言で舞い上がってました、とは言えず適当に言葉を濁してしまう。
近づいてくる彼が好きすぎる。
「ごめん。二階は散らかってるだろ。誰も上げないからいいかなって数年ずっと開けてない段ボールだらけ」
「私で良ければ、開封しますよ」
ネクタイを緩めながら階段を上がってくる喬一さんを見て、思わず肩にかけていたバッグを両手で抱きしめてしまった。
何をしても格好良く見えてしまう。
「いや、君も引っ越して来たら荷物整理あるだろ。その時に一緒にしようかな」
「私、本当にここに一緒に住んでいいんですか」
思わずこぼれた言葉だったが、喬一さんは目を丸くした。
そして、私の横にやってくると違和感なく肩を引き寄せてきた。
「……今更逃がす気はないけど、何か不満はあった? 改装する?」
「私、ソファに寝転んでゴロゴロするのが好きなだらしない奴だし。生ハムきゅうりだし。この家に似合わないですよ」
「あはは。大きなソファを増やそうか。寝転んでいいよ」