とろけるようなデザートは、今宵も貴方の甘い言葉。
「うう……。不安しかない。おばあちゃんのお野菜も送ってくれるのは嬉しいけど、数を減らしてもらわなくちゃ」
宮殿のようなこの家のキッチンに、段ボールに入った土のついた野菜の違和感に泣きそう。
「それは駄目だ」
急に彼の声が焦りを滲ませているので、見上げる。ハッとした様子の彼が眼鏡をかけ直して少し視線を逸らした。
「一矢からも聞いてるよ。大切なおばあさまの野菜は、断ったりしたら失礼だ。俺が全部食べるよ」
「いっつもサラダぐらいしか作ってないですけど、じゃあ食べてもらおうかな」
ふふっと笑うと、少しだけ切ない顔をされたのでどう反応していいか悩む。
それは、やはり祖母の野菜が嫌って顔?
あ……私の料理が嫌?
「料理、頑張ります。その、確かに野菜が来るから適当な料理しか作ったことないんだけど、素材は美味しいので」
「違う違う。俺は何も不満はないよ。ただ、ね」
言いにくそうな彼は、少し考えてから眼鏡の縁を触って唸った。
どうしたんだろう。
深刻そうな顔。
「いや、結婚前にちゃんと話しておかなければいけない。俺はこれが原因で恋愛が続いたことがないから」