Jelly
「もし俺が安藤さんに意見して、仮にまたゼロからやることになったとしてさ。目測間違ってて、予算も納期もオーバーした挙句に欲しいものがちゃんとできなかったら責任取れないよ。俺、ただのプログラマーだし」

 神長はちらりとこっちを見て、無言で溜め息をひとつ。テーブルに寿司が運ばれてくると、そのまますぐに箸を割って食事を始める。

 さっきの言葉は本音ではあったけど、時間が経つにつれ、言った自分が情けなくなってきた。神長や安藤さんはいつも当たり前のように全部の責任と対峙してるっていうのに、その半肩を担ぐ覚悟すらないとか。終わってる。

「……俺、カッコ悪いね」呟くと、
「ほんとそうだな」案の定、呆れたように返された。

 何かの作業みたいにさっさとたいらげて、神長は箸を置く。これじゃ駄目だと思ってるなら、食べながらでも何か方法を考えなきゃいけないのに、何も考えられないまま時間が過ぎていく。
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