Jelly
「十五秒待って」

少し目を伏せて、今度は神長が黙る。一旦考えることをやめて、ただ時間が過ぎるのを待つ。神長の睫毛が意外と長いとか本気でどうでもいいことを思っていたら、ふと目が合った。

「クライアントとのミーティングがあるとする。『エンジニアは来なくいい』と言われていたけど、『正確な見積もりがほしいからやっぱり来て欲しい』と急遽呼ばれたとする」

「う、うん?」
答えはやっぱり、自分で考えなきゃいけないらしい。あらためて気を引き締め直す。

「優月は電車に乗ろうと、急いで駅に向かいました。夕方で駅は混雑しています。ホームに向かって階段を上っている途中、いかにも具合の悪そうな人を見つけました。お前どうする?」

「声掛けるに決まってるよ、すぐに助けなきゃ」

「はい。で、優月はミーティングに遅刻し、クライアントから叱られました。誰が悪い?」

「誰が悪いって……」
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