Jelly
「あ、うん」

 食べながらふと思った。神長もずっと俺たちを見てやきもきしてたのかな、なんて。そうじゃなければ即レスで飯なんて付き合ってくれなかっただろうし。

 見た目や話し方こそクールでも、神長は決して冷たい人間じゃない。それでも、周りの状況がよく見えるやつだからこそ、感じたままの行動が出来ないことがあるのだと思う。誰よりも相手の気持ちを理解できていたとしても。

 もし神長が俺の代わりにチームに加わっていたら、開発メンバーは意識しなくても、安藤さんを捨てて神長から指示を仰ごうとしただろう。

神長の生産性の高さを考えれば状況をひっくり返すことは出来るかもしれない。利益を確保した上でクライアントを満足させ、案件も上手くまとまるかもしれない。でも、それだけじゃ駄目なときもある。

……きっとそれが、神長じゃなくて俺がプロジェクトメンバーに選ばれた理由なんだ。
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