Jelly
■3

 翌朝。ミーティングのあと、安藤さんを含めたチームメンバーに十五分時間を取ってもらった。社内のオープンスペースには、そのままほとんどの社員が残っている。

成り行き上、そこにいる全員と、社長までをも巻き込んだまま話し合いが始まった。ゼロから作り直したいという俺の意見に、開口一番返ってきたのは渋い反応だった。

「それだと完全に予算オーバーになるし、やり始めてみて間に合いませんってわけにはいかない。

納期だけじゃなく、予算内に収めるのも絶対条件なんですよね。あちらの会社は元々、上層部が業務システムのIT化にあまり積極的ではないから」

 スーツ姿の安藤さんは、厳しい表情のまま息をつく。午後から外出の予定があるから、その前に仕事を片付けておきたい気持ちがあるんだろう、いつもより少し早口だ。
< 27 / 48 >

この作品をシェア

pagetop