ビーサイド

真由子は、12月25日にむーちゃんの家でクリスマスパーティーをする予定なんだと言った。

「へ、なんでもっと早く誘ってくれないの!?」

「だって朱音と白石さん一緒に過ごすのかなって思ってたから~」

いじわるそうに言った彼女は、そのクリスマスパーティーには男性も来るのだと続ける。

「この前合コンで知り合った人たちで、みんな理学療法士なの。たぶんもう1人くらい誘えるでしょ」

正直気乗りしなかったが、昨日自分と約束したばかりだ。
もしかしたらその中に、運命の人がいるかもしれないんだから。

「朱音、いい?出会いはね、待ってちゃだめなの。探しに行くの!」

まるで私の心を読んだかのように、真由子はどや顔で言う。
昨今流行のお笑い芸人とは真逆のことを言っているが。

「うん。行く!」

そんな真由子の姿に背中を押され、私は次の一歩を踏み出すことにした。


「真由子ちゃーん?お昼一緒に食べないー?」

まさか立ち聞きしてないよな、と心配になるほど絶妙なタイミングで母が声を掛けるものだから、私たちは声を揃えて笑った。

そういえば昔はよくこんな風に、“恋バナ”していたな。

歳を取って妙なプライドばかりが身についた自分を、心底情けなく思う瞬間であった。


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