ビーサイド
私はとりあえずパジャマを脱ぎ捨て、適当に部屋に置いてあった服に着替えた。
「朱音どうしたの、何があったか話しなさい」
「う……」
真由子は昔から、私の一喜一憂にすぐに気が付いてくれる。
同じマンションということもあって、幼稚園の頃から本当に毎日一緒にいるせいもあるかもしれない。
確かに普段鈍い私でも、真由子にだけは勘が働く。
「あの…何から話したらいいかわかんないくらい色々ありまして…」
涼くんのことさえ話していないのだ。
順を追って話すにも、手始めに何を話せばいいのかわからなかった。
「白石さん?武藤先輩?どっち?」
「…どっちも…」
「はぁ!?」
途中話があっちこっちにいきながらも、30分ほどかけてなんとかすべてを話し終えると、真由子は大きな溜息のあとに、うらやましい…と呟いた。
「合コンのときからわかってたよ、あんたたち空気感がもうバレバレだったから。だけどまさか武藤先輩までねぇ…モテ期じゃん…うらやまし…」
「いやいやいや…もうへとへとなんだよ。こういうの慣れてないから…」
「まぁそれはわかる。朱音ちょっと痩せたなって思ってたもん」
有難いことに、確かに私は洋介と別れてから3ヶ月ほどで、3キロも痩せた。
ご飯が喉を通らない、なんて状況が続いたこともあったからだと思う。
「にしても白石さんもやっぱこじらせてるんだね~」
「やっぱって?」
「ファンの間じゃ有名な話だよ、白石さんがこじらせ系男子だって」
コーヒーを一口啜って、真由子はにやっと笑った。
続けて彼女は、次は朱音の歌なのかなぁと声も出さずに笑い転げるものだから、恥ずかしくて私は彼女を叩いた。
「まぁいいじゃん。クリスマスは朱音もこっちの仲間入りってことで」