総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
わたしはここに来て、キラキラした世界や人たちに触れて、夢や希望を抱いた。
でも、それらはすべて
周りの人たちに支えられてこそ実現していたし、これからもそうなるものがほとんどで。
言い換えると、
なにかを犠牲にして手に入れる必要がある。
自分のことを精一杯にできないわたしに、言い訳をしたりワガママを言う資格、あるのかな。
(本当に、このまま姫でいていいの……?)
「おい燐。ユウの不安を煽るな」
愁さんの言葉にハッとする。
不安を顔に出してしまっていたようだ。
「そうは言ってもさ、事実でしょ。こうなったら今後はボクのとこに来た方がよくない?」
「燐さんが?」
「非行少年と孤独な少女の共同生活。泣ける話は食いつかれるし、世論も味方につけられる。シナリオならボクが考えてあげるよ? ワイドショーも盛り上がること間違いなし。“ワケあって家を飛び出した少女の秘密が今夜明かされる……!”ってね」
「ふざけんな燐。ユウを晒し物にするのかよ」
「この間“仲良くなった”お姉さんにユウちゃんがここにいること教えたらきっと大喜びされるだろうな。とんでもない数字《視聴率》出せるから。謝礼も期待できそう」
「テメェ……ユウを売るつもりか?」
ヘラヘラ笑う燐さんを睨みつける、愁さん。