総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)


「ジョークだよ。そんなに怒んないで」

「言っていい冗談とそうでない冗談があるだろうが……!」

「じゃあキミは犯罪者になっていいの? ガリ勉くん」

「……それは」


言い返す言葉がない愁さんの辛そうな顔を見て心がギュッと痛む。


わたしを守ろうとしてくれて、だけどいろんな壁があって、苦しんでいるんだ。

……わたしのせいで。


「愁の場合は、ほら、まず第一に絵図がサイアクでしょ」

「はあ?」

「真面目一筋の、絵に描いたようなガリ勉くんが美少女監禁なんて。それじゃ美談になんないよ。アイタタタ」

「うるせえ」

「まあ犯罪犯しそうな顔してるけどねー、愁って」

「誰が凶悪犯ヅラだ、誰が!!」

「そこまで言ってないよ〜だ」

「言ってなくても書いてあるっつーの」

「ぜったい小学生のときに好きな女の子のリコーダー舐めたでしょ」

「舐めとらんわ」

「ボクはそんなまわりくどいことしないなあ。好きな子の唇を舐めるな〜」

「それは合意の元だろうな……?」

「えー? 同意なんて求めるわけないじゃん」

「やっぱりイカれてやがんなテメェは」


チラリと総長さん――幻(ゲン)さんを見る。

さっきから、全然口を開かない。


幻さんは、二人きりのときはともかく

みんなでいるときは口数が極端に少なく、なにを考えているか読めないことがある。


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