総長さんが甘やかしてくる②(※イラストあり)
「こうなるのは想定内だ。今更ユウのこと追い出す気もねーし、幻に頼まれた以上は責任をもってここに置いてやる」
愁さんの優しさをまっすぐに受け入れていいのか、わからない。
「ましてやユウは俺たちの姫になったわけで。俺たちが守るのが筋ってもんだ。な、幻?」
わたしは、姫であると同時に――。
通称“鬼”
泣く子も黙る総長、幻さんの
“未来の嫁”である。
出会って間もないというのに、
将来の約束をしちゃっていたりなんかする。
今はワケあって愁さんの家に居候しているが、いずれは幻さんと一緒に住むつもりでいる。
それも
束の間の夢で、終わってしまうの――?
「当たり前のことを聞くな」
――ずっしりと心に響く低音ボイス。
それでいて
「夕烏は俺が命にかえても守る」
……泣きそうなくらい優しく包み込んでくれる。
「い、命はかけないでください」
「かけるさ」
そんなことをさらっと言われてしまいほどに
わたしは幻さんに大切にしてもらえている。
「夕烏のことをよろしく頼む、愁」
「はは。その台詞、前も聞いたな」
「改めてお願いするよ」
「そう何度も頭さげなくても任された以上投げるつもりはない。それにユウは……妹みたいなもんだならな。俺が守ってやりたい」